タイトル:「ちょっと待った!夫婦別姓」

民法改正運動

夫婦別姓運動は民法750条の改正を要求している運動と位置付けることができます。 そして、現在、一部の活動団体が行っている民法改正運動には以下のようなものがあります。

夫婦別姓運動

このサイトで取り上げている、いわゆる「選択的夫婦別姓制度」を導入すべく民法を改正せよ、という運動です。

離婚後300日規定廃止運動

民法772条の規定に対する改正運動です。

民法772条には、離婚後300日以内に生まれた子供については、離婚前の夫を父親と推定し、戸籍に記載する、 という規定があります。この規定は、婚姻制度の本質に関わる重要な規定であり、子供の保護のための規定です。 しかし、一部の運動家と活動団体は、この規定によって離婚前の夫の子ではないのにそのように記載されることを嫌って出生届をせず、 結果として戸籍のない子供(無戸籍児)が生まれている、と主張しています。 そして、それによってパスポートの発行など、一部の行政事務において制限が発生するため、不都合がある、 という主張から、この規定の廃止を求めて運動しているのです。

このサイトの読者であれば、この内容を見て「あれっ?」と思われたのではないでしょうか? そうです、この論理は極めて夫婦別姓論と似ているのです。本来、法律や制度に原因があるわけではない事象を、 あたかも法律や制度のせいであるかのように話をすり替えることで、法律改正運動の根拠としているのです。

上記の「無戸籍児」の例でいえば、まず根本的に、婚姻中に懐胎した子の父親が、夫と推定されることは当然であり、 それこそが婚姻制度の大きな目的や意義の一つなのですから、それを否定することは本末顛倒です。 また、戸籍がない状態となった原因は出生届をしなかったことなのですから、法律に無関係に、 当事者の意志と行動により回避することが可能だったのです。

ですから、どのように屁理屈をこねても、「法律が悪いせいで無戸籍になった」ということにはなり得ません。 したがって、この運動の根拠じたいが存在しないのです。

嫡出子区分撤廃運動

当サイトの「ニュース」でも紹介していますが、嫡出子と非嫡出子の戸籍上の区分を、 事実上廃止することを目指す運動です。

これも婚姻制度の根幹に関わる重要な規定です。

そもそも、なぜ婚姻という制度が存在し、またそれを戸籍や各種の届出(婚姻届、離婚届など)によって国に登録したり、 国がそれを管理する必要があるのでしょうか? それは、生まれてくる子供の福祉のためなのです。親は子供の養育、教育の義務を負っています。 これを正しく行わせるためには、ある子供にとってだれがその責任を負うのか、ということを明確にする必要があります。 しかも、子供が生まれてしまってからでは遅く、子供が生まれる前から環境を整え、子供を迎える準備をすることも必要です。 また、責任者がころころと変わったのでは困ります。

そういったことを踏まえて、まず婚姻によって、今後生まれてくる子供について両親が責任を負う、 ということを公知するわけです。また、それを戸籍に登録することにより、厳然とした根拠を与えるのです。

また、離婚や再婚を繰り返したり、婚外関係で子供をもうけることは、上記の観点からは推奨されないのです。 とはいえ、人間ですから、場合によってはそういう事態もあるでしょうから、 そういう場合は婚姻制度の枠組みとしては「例外」という扱いをすることになります。

そこまで考えれば、そもそもなぜ嫡出と非嫡出の違いがあるのか、ということはよくわかると思います。 親が自らの責任を宣言したかどうか、そこに違いがあるのです。

したがって、この違いをなくすということは、そもそもの婚姻制度の意義じたいを否定することになるのです。


このように、民法改正運動の方向性は、いずれも「婚姻制度の意義の否定」につながるものなのです。 その根源は恐らく、「婚姻制度を敵視するイデオロギー」から来るものなのでしょう。

彼らは「子供には罪はない」とか「被害者が現実に存在する」など、感情に訴えるレトリックを用いますが、 その実、子供を保護するための婚姻制度を攻撃している、という点で矛盾しています。

また、その活動団体には、明確に「民法改正」を団体名に掲げたものがあり、 民法の改正それじたいが、手段ではなく目的になってしまっています。

私たちは表面的な事象や感情的な議論に流されることなく、冷静に判断をしなければならないと思います。

(2008年4月21日 Syphon)